早稲田大学 理工学術院総合研究所 Research Institute for Science and Engineering

【開催報告】2017年9月13日~14日 理工総研第2種行事「SELENEシンポジウム2017」(長谷部 信行教授)

イベント

月探査衛星「かぐや」は、2007年9月14日…いまからちょうど10年前、H−IIAロケットで、打ち上げられました。月探査は、1960年代のアポロなどの米ソの月探査競争時代を月探査第1世代としますと、1990年代から始まった科学目的を主眼とした月周回の探査が第2世代(「かぐや」など)といえます。現在は、着陸機とローバーを中心とした着陸探査で、第3世代になります。その先陣を切ったのは中国です。中国は2013年「嫦娥3号」を打ち上げ、月面に着陸機とローバーを下ろすことに成功。一部に不具合はあったもののその後も活動を続け現在も順調に動作しているとのことです。今、世界中で月面着陸への動きが、アメリカでは月南極への着陸RPM(2019)、インドは「チャンドラヤーン2(着陸機・ローバー)」を近々に打ち上げ予定です。月探査「第4世代」は、月面から物質を持ち帰るサンプルリターンです。その先陣を切るのも中国です。中国は今年嫦娥5号(無人サンプルリターン)を打ち上げ、2020年頃には嫦娥6号を打ち上げ史上初の月の裏側からの資料回収が計画されています。
大分後れを取った日本の動きは、2020年に探査機SLIMを高精度の無人着陸技術を実証するために月面着陸をする予定です。実は日本でも、月着陸では世界でも早くから研究に取り組んでいました。「かぐや」下部の推進モジュールを切り離して月面に着陸し、無人の着陸技術の試験を行う予定でした。その後も、月着陸について検討を続け、セレーネB、後にはセレーネ2として具体案を検討しましたが、完全にキャンセルされました。月探査は将来の惑星探査に必要不可欠とされる探査技術であり、これまで手を付けずに放置したままで世界の競争から遅れてしまいました。更に「第5世代」の月探査は、有人月探査です。「ポストISS」の国際有人探査計画に月が浮上してきました。これは、ISSで培われた技術をもとに国際共同の有人月面基地を構築し、将来の有人火星探査に向けた技術を検証するものとなることでしょう。日本がその要となる要素技術などで大幅に出遅れていることを考えると今後大きな開発課題を抱えていることになります。
上述の「月探査ブーム」のなか「かぐや」打ち上げ10周年を迎え、SELENEシンポジウムは月探査衛星「かぐや」搭載の観測機器によって得られた成果をアピールするとともに、日本国内の今後の宇宙探査計画を広く周知するものです。2017年は9月14日をもって、「かぐや」の打ち上げからちょうど10年を迎え記念の年であり、例年の月シンポジウムと比較して規模を拡大し、打ち上げ日に合わせて開催されました。シンポジウムには日本だけでなく、アメリカ、韓国、中国、インド、イタリア、スウェーデンから約100名(学生含め) が参加し、大変盛況でした。「かぐや」の月観測によって得られた知見と、計画中の国内の各種宇宙探査に関して、その探査目標、搭載機器について合計32件の口頭発表と21件のポスター発表が行われ、活発な議論が交わされました。

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